令和3年 町長所信表明
[2021年7月12日]
ID:4823
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令和3年7月議会で報告しました町長の所信表明を掲載します。
令和3年広陵町議会第2回定例会の開会にあたりまして、広陵町長として、町政運営の基本姿勢について所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
私は、先の町長選挙におきまして、無投票で当選させていただきました。引き続いて皆さまから負託され、3期目の町政運営をお預かりすることとなりました。
このことは、私の2期8年の取組に対して、町民の皆さまから一定の評価をいただいたものであると心に刻むとともに、皆さまに対し心から感謝申し上げます。
また一方では、三度の無投票ということが、おこがましい言い方ではありますが、政策の良否について評価をしていただけたのかどうか不安もあり、今一度心を引き締め、決しておごることなく、『みなさんと共に「いい町」づくり』の実現に向けて、決意を新たに3期目の町政運営に邁進してまいりたいと存じます。
まずは、65歳以上の皆さまには、新型コロナウイルスのワクチン接種がなかなか始まらず、大変ご心配をおかけしましたことを改めて深くお詫び申し上げます。
また、ご心配をおかけしている上に医師の手配を誤り、接種当日に医師が来ていただけない手落ちがあり、さらに町当局の不信を増幅させたことに責任を痛感しております。当日接種にお越しいただいた方々はもとより、町民の皆さまに深くお詫びを申し上げます。
先月21日から集団接種が始まり、皆さまのご協力のもと接種率も徐々に上向いております。国が示していますとおり、今月末までに65歳以上の皆さまへのワクチン接種を完了するとともに、基礎疾患をお持ちの方及び64歳から60歳までの皆さまにつきましても、ほぼ完了いたします。
また、59歳以下の皆さまのワクチン接種につきましても、先月18日には16歳以上の全ての方に接種券を送付させていただきました。本町は大阪をはじめ町外へ通勤・通学されている方も多く、職場や大学での接種が拡大されている状況を踏まえたものでございます。今後、8月から9月にかけて集団接種を行うとともに、12歳から15歳までの方々を含め個別接種の実施に向けて、町内医療機関の協力を得ながら、順次進めてまいります。
新型コロナウイルス感染症の流行は、既に1年半以上に及んでいます。今なお経済情勢や人と人との交流の先行きは見通すことができず、多くの人々が不安な日々を送られています。
このような情勢の中、昼夜を問わず懸命に対応に当たっておられる医療従事者、介護従事者の皆さまをはじめとしたエッセンシャルワーカーの皆さまに、改めまして心からの敬意と感謝の意を申し上げます。
さて、私は、『みなさんと共に「いい町」づくり』をスローガンに掲げ、「対話を重視すること」、「コミュニティを大事にすること」、「あたたかな政策を基本にすること」を基本姿勢とし、これまで2期8年にわたって広陵町発展のため全力を尽くしてまいりました。
懸案でありました中学校給食の開始やクリーンセンター操業期限後のごみ処理共同化をはじめ、小中学校のエアコン整備やトイレ洋式化、北かぐやこども園の開園、コミュニティバス広陵元気号の本格運行などを実現してまいりました。また、昨年は新型コロナウイルス感染拡大に伴う町独自の支援策として、町内企業が製造したマスクの配布、指定ごみ袋の無料配布、上水道基本料金の3ヶ月分免除、給食費の令和2年度分無償化などを、議会からのご提案をいただき実施いたしました。
本年6月1日から施行いたしております「広陵町自治基本条例」は、まちづくりの主体である町民、町議会、行政がそれぞれの権利や役割、責務を果たしながら連携してまちづくりに取り組んでいく際の基本ルールを定めたものであります。
広陵町自治基本条例の「参画と協働」の理念のもと、次代を担う若年層や壮年期の皆さまが、町政やまちづくりに関心を持ち、将来の広陵町を共に考え、熟議できる会議体の形成を行ってまいります。
『みなさんと共に「いい町」づくり』をさらに前進できるよう、これまでの実績とともに次に掲げる「豊かな町」、「安全な町」、「元気な町」の3つの重点項目の実現に向け、全力で取り組んでまいる所存です。
これまでに、中小企業・小規模企業振興基本条例の制定後、同振興計画の策定、一般社団法人広陵町産業総合振興機構「なりわい」を創設し、広陵高田ビジネスサポートセンター(KoCo-Biz)を設置いたしました。
今後は、これらを積極的に活用し、がんばる事業者を応援するとともに、町内で起業を希望する方の創業をサポートしてまいります。
箸尾準工業地域の工場用地造成事業につきましては、令和6年度に進出企業が工場建設をスタートできるよう計画しております。今年度は、用地取得の完了や進出企業の決定を行うこととしており、次年度以降の造成工事も含め着実に事業を進めてまいります。
工場用地造成に続き、箸尾駅前地区の土地利用計画、都市計画道路箸尾駅前線の整備につきましても事業を進めてまいります。
「農業は国の礎」と申します。しかし、農業従事者の高齢化は深刻化しており、待ったなしの状況であります。農業経営の合理化、農地の集約化を図るため、町内各地域で「人・農地プラン」の実質化を進め、集落営農組織の立ち上げや新規就農者の育成などを全町展開してまいりたいと存じます。
専業農家の育成を目指して農業塾を開設し、その修了者が複数イチゴ農家として就農されています。さらに高付加価値作物を中心とした新たな農業を進めるため、農業塾を継続してまいります。
観光客の誘致をはじめとする関係人口の創出として、竹取公園周辺地区におけるまちづくりは、現在「花讃道プロジェクト」として公園施設のリニューアルや上田部奥鳥井線の歩道拡幅による新たな賑わいエリアの整備など、周辺が賑わいの拠点となるよう計画を進めてまいります。南海トラフ沿いを震源域として、今後30年以内にマグニチュード8以上の巨大地震が発生する確率は、70~80%とされています。
「災害は忘れた頃にやってくる」この言葉を胸に、すべての町民の皆さまに日頃からの備えを促すとともに、町としましては、在来地域を中心とした住宅密集地域において、狭隘道路の拡幅整備を進めるとともに、長期ビジョンとして、防火帯としての機能する基幹道路の整備を位置づけた「防災対策100年計画」の策定を進めてまいります。
水害対策としましては、奈良県と連携しながら平成緊急内水対策事業として、古寺川、広瀬川及び馬見川流域で雨水を一時貯留し、内水氾濫による被害を軽減させる遊水池を整備してまいります。
また、老朽化したため池の安全性が課題となっております。万が一決壊したときに備えてハザードマップを作成しており、地域防災計画の見直しや防災施設整備などの対策に活かしてまいります。今年度は、堤体の地震に対する安全性の調査を行う予定であり、今後とも積極的な取組を進めてまいります。
防犯対策としましては、地域でのきめ細かな見守りとともに、子どもや認知症のため行方不明となる恐れのある高齢者を見守るシステムの構築など、ICTを活用した「安全・安心のまちづくり」を推進してまいります。新型コロナウイルス感染拡大の長期化により、人との接触を避けた結果、心身の不調を訴える方が増加しており、高齢者をはじめ町民の皆さまの健康面が懸念されているところです。
広陵町では「健康長寿奈良県一」を目指し、地域巡回型健康教室「広陵元気塾」やKEEPによる介護予防教室を推進してまいりました。引き続き新型コロナウイルス感染症対策を徹底しながら、高齢者の外出機会を確保し、健康に過ごすための取組を継続してまいります。また、がん検診受診率の向上や受動喫煙防止対策を強化するなど、誰もが健康的で豊かな生活ができる町を目指してまいります。
「元気な町」広陵町の実現には、子どもたちの健やかな成長が欠かせません。町内の至る所で子どもたちの明るく元気な声が聞こえる町を目指して、不妊治療の支援をはじめ、子ども医療費の高校卒業までの無償化、小中学校給食費の第3子からの無償化など、子ども・子育て施策の充実を図ってまいります。次に、近隣市町村との連携、公民連携の推進について述べたいと存じます。
人口減少と少子高齢化が急速に進んでいく中、多様な行政ニーズに応えていくためには、共通する課題に連携して取り組むことが必要であります。
現在、令和7年の稼働に向けて進められている10市町村の広域化によるごみ処理施設や安堵町、河合町との3町でのごみ中継施設の整備、国保中央病院と川西町、三宅町、田原本町、広陵町を結ぶシャトルバスの広域運行や中和・西和3市4町による公共施設の共同利用の検討など、近隣市町村との連携が多くの事業で進んでおります。
今後もより一層、効率的な行財政運営による住民サービスの実現を目指して、自治体間の協調発展を見据えた連携を進めてまいります。
民間企業、事業者には、行政にとって不足がちな経営の知恵、能力があります。私たちが担うべき行政事務がある一方、施設の管理、催事など、専門分野を得意、また特化した大学や民間事業者などとの公民連携を進め、「民間でできることは民間で」を実践し、効率的で実効性のある行政運営を行ってまいります。「人生そのものが、学習の場なのだ」これは、トーマス・エジソンの言葉です。人は、生まれてから死ぬまで学習し続けます。学習する権利は誰にでもあり、私たちが学び続けることで、豊かなまちづくりを実現することができます。町民の皆さまの生涯にわたっての学びを支援し、共にまちづくりを担っていただきたいと存じます。
中央公民館の建て替えにつきましては、私の任期中に目処をつけたいと考えており、公共施設等総合管理計画を踏まえながら各方面と協議してまいります。
現在、第5次広陵町総合計画及び第2次広陵町まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定を進めております。これまでの策定方針とは異なり、人材育成、行政評価の観点から、職員が一つ一つの施策を洗い出し、将来のまちづくりに生かすため効果的な施策を学び、議論を重ねております。
地域担当職員制度につきましては、地域と町とのパイプ役に加え、地域の課題解決を共に担うパートナーとして位置付けるとともに、これまで以上に地域に積極的に関わることで、行政と町民との距離が身近になる取組を進めてまいります。
一方で、区・自治会といった基礎的コミュニティをはじめ、特定の社会的課題を担うボランティア団体やNPOなど、まちづくりを担う多様な主体が連携し、地域課題に取り組むことについて、支援してまいります。以上、3期目の町政運営をお預かりする私の所信の一端を申し上げました。
これからの人口減少と超高齢化を見据えたまちづくりには、さまざまな課題が山積しております。公共施設やインフラの老朽化対策は、長寿命化を基本として早急に修繕対応しなければならない施設もあり、財政状況や受益者負担のあり方を勘案しながら進めていく必要があります。また、行政のデジタル化は、住民本位の迅速かつ積極的な取組が求められております。
さらに、SDGs未来都市に選定されている本町は、一層のごみ減量化や、地球温暖化対策に繋がる二酸化炭素の排出が少ない暮らしの実現に積極的に取り組んでいく必要があり、町民の皆さまと議会、そして行政の3者が互いに主体となって知恵を絞り、意見を出し合い、行動に繋げていかなければなりません。
「人生は何事も成さぬにはあまりにも長いが、何事かを成すにはあまりにも短い」これは、小説家中島敦の言葉であります。しかし、私たちの時代の取組だけで「まち」ができあがるものでは決してありません。まちづくりは、連綿と続く歴史の継承であり、次代を担う子どもたちに引き継いでいかなければなりません。広陵町の将来像を描きながら、『みなさんと共に「いい町」づくり』ができるよう、詩人坂村真民の言葉「念ずれば花ひらく」の気概を持って、邁進してまいる所存です。
議員各位並びに町民の皆さまのより一層のご理解とご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。町長所信表明(内容は上記と同じです)
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