一般廃棄物のごみ減量等に関する事項について
1 はじめに
近年の経済発展や新たな技術の開発、新素材の出現は、我々の生活を便利にまた豊かにしてきた。そしてそれは、大量生産・大量消費・大量廃棄という社会経済システムに支えられたものであり、ごみ量も増加の一途をたどっている。ごみ量の増加は、自然環境への影響や不法投棄などの不適正処理による生活環境の悪化をもたらすとともに、資源の枯渇や地球温暖化などの地球規模での環境問題へと発展しており、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会経済システムから、環境への負荷が少ない循環型社会への転換が強く求められている。
このため、国においても「容器包装リサイクル法」や「家電リサイクル法」、「建設資材リサイクル法」、「食品廃棄物リサイクル法」、「資源有効利用促進法」及び「グリーン購入法」の制定・施行や「循環型社会形成推進基本法」の制定に見られるように法体系も順次整備されつつあり、廃棄物行政を取り巻く環境も大きな転換期を迎えている。
このような背景のなか、広陵町ごみ減量等推進審議会は、平成12年11月29日広陵町長から、「広陵町の一般廃棄物のごみ減量等に関する諮問事項について」検討するよう諮問を受けた。
諮問の主旨は、ごみ焼却施設から排出される環境汚染物質等の発生を抑制するための焼却量削減や、広陵町の「一般廃棄物(ごみ)処理基本計画」でのごみ減量化を達成するためにさらなるごみ減量が求められていること、「容器包装リサイクル法」や「家電リサイクル法」などの新たな法制度への取組みについて、さらに、ごみの発生・排出抑制行動を誘導する仕組みづくりとしてのごみ処理の有料化などについて検討が必要であるということである。
町民生活に身近なごみ問題は、今や地球規模の環境問題となっている。ごみ焼却に伴ない発生する環境汚染物質等は、地域環境を脅かすのみならず、人類の生存を脅かす問題であり、また、使い捨て社会のツケとして廃棄物処分場の残余容量が全国的に逼迫してきている状況にある。
地球環境に過大な負荷を与えている現在の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会システムを転換し、持続可能な循環型社会として21世紀の次世代に引き継いでいくことは、現在の環境から多大の恩恵を受けている町民の責務であるという基本的な考え方にたち、行政の取り組むべき施策、姿勢がいかにあるべきかを問うものである。
本審議会では、こうした社会状況の変化を積極的に受け止めて、これまでに9回の審議会を開催し、「ごみ処理アンケ-ト調査」の結果も踏まえて議論を行い、「一般廃棄物の処理に関する事項について」の基本的な考え方と取組み方針、具体的な方策を答申として取りまとめた。
各委員は、生活者の視点、事業者の視点、専門的視点からそれぞれ議論を展展開し、すべての項目にわたって十分審議を尽くしたが、全委員が完全合意に達しなかった部分もあり、それについては、少数意見として整理し付記した。
本答申は、環境負荷軽減に配慮しながら、まずごみの発生量自体を抑制し、排出されるごみについても出来る限り再使用・再生利用するいわゆる循環型社会への方向性を提示したものである。また、今後の廃棄物行政の展開にあたり、新たな出発点であることを認識すべきであり、そしてそのためには、行政はもとより、町民、事業者、三者のパ-トナ-シップにより施策を展開していくとともに、めまぐるしく変化する社会情勢に対応していくことの重要性を指摘している。
今後は、この答申を踏まえ、早急に実施計画を策定されるとともに、実施すべき施策の具体化に向け積極的に取り組むよう強く要望する。
2 基本的な考え方
広陵町では、平成12年3月に平成12年度(2000年度)を初年度とし、平成26年度(2014年度)を最終年度とする広陵町の「一般廃棄物(ごみ)処理基本計画」が策定されたところである。この基本計画は、社会情勢の変化とともに年々多様化する廃棄物の現状をとらえ、長期展望のもとにごみの減量化・資源化を積極的に推進し、安全で効率的な廃棄物処理体系を確立するための基本計画であり、概ね5年ごとに改定するものとされている。今後策定される実施計画においては、本審議会の答申が、ごみ減量化目標値、資源化目標値並びに達成方策等の基となる。
さて、国においては、ダイオキシン類問題への対応として、平成11年9月のダイオキシン対策関係閣僚会議で、平成22年度(2010年度)を目標年度として、平成9年度(1997年度)に対し、一般廃棄物の排出量を5%削減、再生利用量を24%に倍増、最終処分量を13%に半減することを決定している。さらに、ごみ焼却に伴なってCO2が発生するが、平成9年の地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択された「京都議定書」では、CO2を含めた温室効果ガスの排出量を2008年から2012年の5年間について、1990年比で6%削減するという目標が定められている。
また、広陵町においては、現清掃センタ-周辺大字・自治会との操業協定、移転先の選考、最終処分場や事業系の一般廃棄物を他市町村に依存している厳しい現状を踏まえれば、国の数値目標を上回る減量化目標値の設定は不可欠である。
3 収集計画
3-1 分別種類の選定
自治体によって、ごみの分別種類やその品目は多様であり、30以上の細かい分類を実施している自治体もある。
資源化という面を考えると分別種数は多ければ多いほど資源化しやすいと考えられるが、その一方で分別に伴う住民・収集の負担や、引き取り先・ストックヤ-ドの確保、それに伴う費用の増大といった問題も生じる。
平成9年度(1997年度)の奈良県下47市町村における分別種類数は2種~5種分別の範囲であり、4種分別が24団体と最も多く、その処理に要する1人当たりのごみ処理経費は、年間1万4千円となっており、5種分別の団体は、広陵町を含め8団体であり、そのごみ処理費用は、年間1万6千円となっている。
その後広陵町では、平成10年7月からの5種分別13種類の分別収集を、平成13年4月以降は牛乳パックを追加し、現在の5種分別14種類の分別収集となっている。(上記は、奈良県区分(可燃・不燃・粗大・資源・有害)による分類である。広陵町では可燃・不燃・粗大・資源・有害・プラスチック・リサイクルとして7種分別と呼んでいる。)
なお、平成11年度における広陵町のプラスチックごみは、家庭ごみ全体の4.1%となっているが、他都市の事例や平成12年度において、248世帯、1,053人を対象に14日間実施した「ごみの30種分別調査」(以下、「ごみ調査」という。)の結果から家庭ごみ中に含まれるプラスチックごみの割合は10%前後であると考えられ、今後分別の徹底がなされれば、今まで可燃ごみに含まれていたプラスチック類が減少することで、焼却処理される可燃ごみ量の減少が予想される。
また、平成13年度から家電リサイクル法が施行され家電4品目(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)の有償回収が実施されている。
さて、当審議会では、法律に基づいた分別を進めて可燃ごみを減らすということから、徐々にごみの減量を進めていくという方向を基本とした。平成12年度から施行された容器包装リサイクル法で、未実施分別の「プラスチック製容器包装」(飲料用及びしょうゆ用のペットボトル以外のもの)及び「紙製容器包装」(飲料用紙パック及び段ボール以外のもの)に関しては、まず第一段として白色トレイ並びに牛乳パックの分別を考え、そのうち、牛乳パックについては平成 13年4月から分別を開始したところである。今後の分別収集については、住民に大変な作業を強いることが考えられるために、有効なリサイクルが確立されるまで待つべきであると考える。
また、住民・事業者・行政の三者がそれぞれバランスある責任を持ち合い、極力スーパー等事業者の店頭回収や集団回収等に努めてもらいたいと考える。
3-2 収集方法の選定(ステーション、個別)
ごみの収集方法を大別すると、「個別収集」と「ステ-ション収集」の2方式に分けられる。
現在広陵町では、一部の区域を除き、基本的には戸別収集(リサイクル素材のみステ-ション収集)を行っている。平成9年度における奈良県下の燃えるごみの収集方法は、戸別収集が8市町村、ステ-ション収集を行っているのは36市町村で、ステ-ション収集が主流となっている。
さて、戸別収集は排出者にとって非常に便利な方法である。また、排出者の責任が明確となることや、集積所が不要であり他市町村から持込まれないなどの利点がある。一方、収集効率が悪く、特にごみ処理において最も事故発生率が高いと思われる収集・運搬作業において、作業性の悪化は収集作業員への負担増及び事故につながることが問題となる。
もう一方のステ-ション収集は、排出者の負担増や集積所の確保が必要なこと等の問題もあるが、戸別収集に比べて収集・運搬効率が良い。
したがって、当審議会では、どちらの方法にも、長所及び短所があること、収集・運搬効率はごみ処理経費に反映されること、また事故防止のため、集積所の確保や収集頻度の見直しにより、将来的には広陵町においてもステ-ション収集導入について検討を行う必要があると考える。
3-3 指定袋制導入
ごみ袋は、市販の袋や、小売店のレジ袋の利用、種類は問わないものの「半透明の袋」、自治体独自の指定袋を使用など、各自治体によって様々である。また、指定袋の対象となるごみの種類も自治体によって異なっているが、現在広陵町では、ごみ袋の指定はされていない。
平成12年度における奈良県下47市町村の指定袋の状況は、指定袋のみを実施しているのは8自治体であり、指定袋と有料制を併せて実施しているのは23自治体である。
さて、当審議会では、可燃ごみの袋を環境汚染物質の出にくい袋にすることによって、焼却の際の環境汚染物質(ダイオキシン類等)の減量に繋がること並びに透明袋若しくは半透明袋にすることにより、ごみ収集・運搬の際のけがが未然に防がれること、分別の徹底が外部から確認できること、他市町村のごみの流入が防がれること等の長所があるが、中身が見えることによる個人のプライバシ―が妨げられること、景観が悪くなること、カラスなどにつつかれやすくなるという短所も議論された。
ところで、平成12年6月に実施された「ごみ処理について」のアンケ―ト調査によると、町の指定袋化(燃やしても環境汚染物質が出にくい袋)については、賛成が46%、どちらでも良いの31%を加えると約80%の住民が理解を示し、約20%の住民が反対している。
現在、広陵町では、可燃ごみ・不燃ごみ・プラスチックごみの指定袋化を考えているとのことであった。
これらのことを考慮し、環境に優しく、分別収集の徹底が期待でき、けがを未然に防ぐには、特に透明袋や半透明袋が有効である。
しかし、指定袋の導入の成否は、住民の協力無しでは成り立たないことから、住民理解を十分に得た上で、ごみ袋の指定制を導入すべきものと考える。
袋の種類(大きさや色)等については、住民の代表組織であるごみ減量推進員等の意見をふまえ、行政において個人のプライバシー等にも十分配慮して適正な袋の選定をすべきであると考える。
3-4 ごみ処理手数料の有料化(有料化対象ごみの決定、料金徴収方法)
近年、ごみ処理を有料で行う自治体が増えてきている。これは、年々増加する傾向にあるごみの量を減らす動機付けになると考えられている。
平成12年度における奈良県下47市町村の有料制実施状況は23自治体であり、平成2年度の実施8自治体から大幅に増加している。有料制の方法には、色々考えられるが、県内の方法は20自治体が全量有料制(1枚目から一定額有料の制度)であり、残り3自治体は一部有料制(一定枚数無料で超過分のみ有料制度)である。
対象ごみやごみ袋の値段は自治体により異なるが、主に可燃ごみで半透明や色付きの袋が多く20~50円程度、不燃ごみは半透明の袋が多く50~60円程度が多かった。一番高いもので100円(全量有料制)である。
広陵町では、現在ごみの有料制は導入されていない。
さて、有料化によるごみの減量効果については多くの事例が報告されているが、概ね10%~20%程度の減量効果があると見込まれている。ただ、その効果については、各自治体により数%から50%とばらつきがあり、明らかな効果のない自治体が3割、大きな減量効果のあった自治体が4割との報告(環境庁(1993年)もある。
一方、有料化導入による、減量効果の大小と料金の大小が、比例するとの報告もある。
さて、ごみ問題の背景には地球環境問題があり、地球環境に優しいごみ処理を実現するために、当審議会では、住民は町民税や固定資産税を払い、町はごみ処理をしなければならないと法律で定められていることを前提として、1.減量化推進のためのごみ処理有料化の導入や、2.排出量の多寡による住民負担の公平性、3.適正処理施設の建設・運営・処理・公害防止対策・地元環境対策等に係わる費用が従来に比べ大幅に増加し、今後もリサイクル種類の増加に伴う処理費増加等の予想により、町財政に及ぼす影響について、などが議論された。
ところで、平成12年6月に実施された「ごみ処理について」のアンケ―ト調査によると、ごみ有料化について14%が賛成で、どちらでも良いの15%を加えても約30%であり、約70%の住民の理解が得られていない。
しかしながら、一方本町では、裁判結果により新施設の整備が急務となっており、次期施設は必ず町内のどこかの地域に負担がかかるため、その地域のためにも町民全員でごみの減量化等、がんばっているのだと分かるような努力が必要である。これらのことから、ごみ処理を適正に推進するには原則的に経済的負担が生じるのはさけられない状況のなか、負担をしても取り組んでいこうということについて意見が集約された。
有料化の具体的な方法については、大きく分けて、全量有料制・一部有料制・二段階有料制の3つの制度が考えられる。
全量有料制は、全ての袋を一定金額で販売する方法であり、各家庭が必要枚数を購入するため、ごみ排出量が多くなれば費用が余計にかかることになり、各家庭では特にごみ減量化を意識することやその持続性が期待できる。反面、生活弱者等には負担増となる。
一部有料制は、一定枚数を無料配布とし、超過分を有料販売する方法であり、二段階有料制は、一定枚数を安価とし、超過分を高価とし販売する方法である。
両制度は、税の二重課税の問題は薄らぐことや生活弱者にも配慮がなされることに長所があるが、反面、一定枚数の算出方法は、家族数、家族構成、勤務場所、住民異動などにより複雑であり、特にその管理運営は困難である。
これらのことや他市町村の導入効果等を総合的に議論した結果、ごみ減量の必要性、減量効果や財政面の効果について、住民理解を十分得た上で、ごみの全量有料制を導入することが必要であると考える。有料化対象ごみは、指定袋の導入について検討した袋(可燃ごみ・不燃ごみ・プラスチックごみ)とシ―ル(粗大ごみ)について必要であると考える。
有料化を導入するにあたっては、住民の理解を得る方策を講ずるとともに、価格については個人の負担及び町財政の負担などをふまえ、過大な負担を強いるものでなく、かつ減量の効果も期待できるものとするべきである。
なお、生活弱者への配慮をすべきことや、一定期間は無料配布を実施し、その結果で有料化すべきとする意見も少数あった。
4 ごみ減量化計画
4-1 ごみ減量化目標値の設定
政府は、廃棄物の減量化の目標値については、「ダイオキシン対策推進基本指針」(平成11年3月ダイオキシン対策関係閣僚会議決定)に基づき、平成11年9月に設定した「廃棄物の減量化の目標量」の考え方を踏まえ、当面、平成22年度を目標年度として、使い捨て製品や過剰包装の自粛、リタ-ナブル容器(繰返し使用されるガラス瓶)の利用や耐久消費材の長期使用、処理手数料の徴収等の経済的措置の活用等により、現状(平成9年度)に対し、排出量を約5%削減することとしている。
奈良県においては、リサイクル社会の構築を効果的に進めるため、平成12年度を目標年度として、事業者においてはオフィスの紙ごみの排出抑制、過剰包装の抑制等、また、消費者においては使い捨て容器の使用抑制、集団回収による資源化等を重点的に進めることにより、平成12年度のごみの排出量を、昭和63年度レベルの1人1日当たり950gにすることを目標値として設定している。平成12年度のごみ排出量の予測値に対しては17%減量となっているが、これは国の目標値に換算すれば約4%削減と考えられる。
広陵町においては、先程の「2基本的な考え方」で述べたとおり、ごみ処理行政の現在置かれている厳しい状況を踏まえれば、国の数値目標を上回る減量目標設定は不可欠である。
当審議会では、平成22年度を目標年度として、ごみの将来予測値に対し20%減量を目標値に設定した。
減量化目標値を設定するにあたり、まず、指定袋制・全量有料制を導入した和歌山県白浜町の事例を参考に検討した。指定袋制の導入により、分別の徹底がなされ、これまで可燃ごみに混入していたプラスチック等の15%(現状の可燃ごみ量を100とする)が、その他ごみとして排出され、図4-1に示すように総ごみ量は同じものの、可燃ごみ量が少なくなりその他ごみの割合が大きくなる事が予想される。次に、分別の徹底がなされ排出された可燃ごみが、全量有料制の導入により30%(指定袋制導入後の可燃ごみ量を100とする)の減量がなされれば、総ごみ量は図4-2に示すように、現状の19%減量となる。したがって、減量化目標値に20%を採用した。
図4-1 指定袋制と有料制を導入した場合の減量効果(想定図)
なお、具体的なごみ減量方法については、別途5 達成方策において述べることとする。
4-2 資源化目標値の設定
政府は、資源化の目標値については、平成11年9月に設定した「廃棄物の減量化の目標量」の考え方を踏まえ、当面、平成22年度を目標年度として、分別収集を行う市町村や再商品化施設整備への支援等、生ごみの堆肥・飼料等への再生利用の推進等、再生利用可能な紙類の回収の推進や新聞紙等の古紙利用率の引き上げ等、粗大ごみ処理施設等での金属回収の推進等により、資源化率を10%から2.4倍の24%に増加させることとしている。
奈良県においては、リサイクル社会の構築を効果的に進めるため、平成12年度を目標年度として、分別収集の徹底、資源化施設の整備、住民団体が参加しやすい環境づくり等、資源化の推進を積極的に図ることにより、平成3年度の資源化率6%の倍増をめざし、約13%を資源化率の目標値としている。
広陵町においては、先程の「2基本的な考え方」で述べたとおり、ごみ処理行政の現在おかれている厳しい状況を踏まえれば、国の数値目標を上回る資源化目標値の設定は不可欠である。
当審議会では、ごみ調査に従うごみの30種分別が基本で行われるとすれば、資源ごみで22%、リサイクル素材で8%、合計で30%の資源化率となり、これに現在資源化出来ていないプラスチック6%を資源化すると合計36%となる。しかし、現在の14種類分別を30種類分別に拡大し、全住民にこの分別をしてもらうことは、現在のところ困難と言わざるを得ないので、資源化目標値を国と同水準の24%と設定した。
これは、平成9年度実績の11%の資源化率、プラスチックごみの資源化により6%、牛乳パックの資源化により1%、合計18%となり、さらに、集団回収の推進、生ごみの水切りの徹底等により、資源化率24%の達成は不可能ではないと考える。
4-3 中間処理計画、最終処分計画と整合性
中間処理計画や最終処分計画は、分別収集方法や再資源化の方法により異なってくる。
中間処理施設は、焼却処理施設やごみ固形燃料化(RDF)施設等の「可燃ごみ処理施設」と粗大ごみ処理施設やリサイクルプラザ等の「不燃ごみ処理施設」に大別することができる。
現在、広陵町は 焼却処理施設及び粗大ごみ処理施設を整備しており、燃やすごみについては焼却処理、その他のごみについては破砕処理又は再資源化を行い、それでも残るごみについては最終処分を行っている。
広陵町では、さらなる分別収集の徹底や分別種の増加により、資源化を促進する計画である。そのため、中間処理施設の整備にあたっては、それに合致した内容としなければならない。
燃やすごみから資源化可能なごみをできる限り分別収集して、リサイクルプラザを整備することにより貯留及び再資源化を促進し、残りの燃やすごみについてはRDF施設や焼却施設を整備することにより、ごみの適正処理を図ることとする。
現在最終処分しているごみは、焼却残渣とプラスチック類がその多くを占めている。焼却残渣については、今後もフェニックスにて委託処分となるが、プラスチック類については、熱エネルギーとしての有効利用や再資源化することのできる委託先を確保することにより、埋立処分量の減量化を促進することとする。
また、「分別回収したごみの物質回収」、「ごみの持つエネルギーを熱や電力として回収すること」等のリサイクルの効率化や、「広域化処理」によるごみ処理の高効率化を考えた上で、ごみ処理や資源化の問題については、広陵町単独ではなくブロック4(葛城)の構成市町(3市6町)との連携を深め、広域処理が出来るような体制作りの早期実現を、奈良県に強く要望していくべきであると考える。
5 達成方策
5-1 ごみ減量化に向けた行動計画
当審議会は、平成22年度を目標年度として、ごみの将来予測値に対し20%減量を目標値に設定した。その目標値の達成に向け、二段階に分けて次の行動計画を推進することとした。
有料化及び指定袋制の導入で減量が期待される11%の内訳◎中間年度(平成17年度)までに実施(例) |
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ごみ発生抑制と再利用 (1) 生ごみの水切り実行の普及 (2) 生ごみ処理機(電気式、コンポスター等)の普及の推進 *平成14年度から平成17年度にかけて毎年最低限90世帯の普及に努める。 *事業者にも普及を推進する。 (3) 食べ残しを少なくする *食べ物を粗末にしない。(賞味期限内の食品を捨てない) (4) 買い物袋利用の推進 *出来るだけ、買い物袋を持参する。 (5) 簡易包装の普及 *無駄な包装を減らす。 (6) その他 *無駄な買い物の自粛・物品等の長期利用 *官公庁の排出ごみを削減 *事業者の排出ごみを削減 *行政は、ごみに関する情報や不要品交換に関する情報の啓発に努める。 |
3.0% 削減
3.0% 削減
2.5% 削減
1.0% 削減
1.5% 削減
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減量化率合計 11.0% 削減 |
有料化及び指定袋制の導入で減量が期待される20%の内訳◎中間年度(平成22年度)までに実施(例) |
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ごみ発生抑制と再利用 (1) 生ごみの水切り実行のさらなる普及 (2) 生ごみ処理機(電気式、コンポスター等)の普及の推進 *平成14年度から平成17年度にかけて毎年最低限90世帯の普及に努める。 *平成18年度から平成22年度にかけて毎年最低限50世帯の普及に努める。 *事業者にも普及を推進する (3) 食べ残しを少なくする。 *無駄な食品を買わない(手付かずの食品を捨てない) (4) 買い物袋利用のさらなる推進 *常に買い物袋を持参する。 (5) 簡易包装の普及 *さらに無駄な包装を減らす。 (6) その他 *無駄な買い物の自粛・物品等の長期利用 *官公庁の排出ごみをさらに削減 *事業者の排出ごみをさらに削減 *行政は、ごみに関する情報や不要品交換に関する情報の啓発に努める。 | 6.5% 削減
3.0% 削減 1.5% 削減
4.0% 削減
2.5% 削減
2.5% 削減
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減量化率合計 20.0% 削減 |
※ 20%削減とは、平成9年度の実績に対して、1人当りのごみ排出量を10%減量することにより達成できる目標値である。
5-2 住民、事業者、行政の役割
資源循環型社会を構築するためには、ごみの減量化や資源化をこれまで以上に進めていく必要があることは言うまでもないが、「住民」、「事業者」、「行政」三者の協力が必要不可欠であり、それぞれがそれぞれの役割と責任を分担する必要がある。
- 住民の果たす役割
減量・分別を徹底し、資源回収に積極的に参加する。
また、ごみは各個人一人一人が排出していることから、家族全員で分別等に協力する事が不可欠である。
具体的には、生ごみは、水を切って排出する。
コンポスター・生ごみ処理機等を利用し、生ごみを減らす。
買い物袋を持参する。
物を大切にし、長く使用する。
ごみとなるものを買わない。
自治会・子供会等の集団回収を利用する。
環境・ごみに対する意識改革をする。 - 事業者の果たす役割
ごみの減量、簡易包装や資源回収に自主的に取組む。
また、自ら製造・販売した商品の回収ル-トを構築するよう努力する。
具体的には、ごみの量を調べ、減量に努める。
簡易包装に努める。
店頭回収等により資源化に努める。
流通・販売 ル-トでのごみ減量に努める。 - 行政の果たす役割
効率的な資源回収の仕組みを積極的に構築するとともに、住民、事業者に対して簡易包装の徹底や自主的なリサイクルル-トづくりについて指導を行う。
また、広報や環境教育を拡充し、ごみ問題に対する正しい認識の普及に努める。
具体的には、生ごみの水切りについて指導する。
コンポスター・生ごみ処理機等の普及に努める。
環境・ごみに関する情報を発信する。
三者の中心となり啓発活動や意見の交換等に努める。
ごみの再資源化先を確保する。
当審議会では、行政は特に以下のことに留意すべきと考える。
〇ごみの減量化や資源化について、その手段である分別の必要性等について、説明会を開催するなど積極的な広報行動を行う。
〇指定袋の導入や有料制の導入については、住民に十分な理解を得るため、説明会等の広報活動を積極的に行う。
〇分別種の増加や人口の増加に伴い、収集方法及び収集場所の選定が必要となる。選定にあたっては、住民の協力が不可欠であることから、自治会等を中心とした啓蒙活動を行う。
6 おわりに
日常生活から排出される「ごみ」は、当然のように地方自治体の責任において処理されるものとして、産業界はもとより我々生活者は今まであまりにも無関心であった。物質があふれる社会で生活し、大量消費、大量廃棄を繰り返してきたため、ごみ処理施設から発生する環境汚染物質により、我々の生活を脅かす結果となってしまったことは、そのツケとも言えるものである。また、中間処理施設や最終処分場の用地確保が非常に困難となっている状況は、大いに反省しなければならないものである。
恵まれた物質社会は、私たちの生活を便利で快適にしてくれていることは言うまでもないが、その一方で地球環境を徐々に蝕み、この状況が継続するとその将来は危機的状況に陥ることは、多くの人たちが指摘しているところである。
そのため、これまでの大量消費・大量廃棄型社会から、資源循環・廃棄物循環型社会への構造改革が、求められているところである。
平成11年にごみ処理施設の操業をめぐる住民訴訟が提起され、それが契機となり、これからの広陵町でのごみ処理のあり方を考える本審議会の設置となったものである。広陵町から諮問された事項について、審議会で各委員の熱心な討議、意見交換を行い答申したものであるが、広陵町のごみ処理行政の推進にあたっては、地方自治の本旨にのっとり、さらに議会審議をはじめ十分な住民の理解と協力を得る努力をされるよう願ってやまないものである。さらに地域住民の皆様におかれては、ごみ問題は他人事ではなく、自らの問題であることをご認識いただき、リサイクルを基盤とした循環型社会の早期実現や健全な生活環境の維持のため、ごみリサイクルの徹底等、あらゆる場面での積極的な参加と協力をお願いするものである。
参考 1
審議会開催状況回 数 | 開 催 日 時(場所) | 主 な 審 議 内 容 |
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第1回 | 平成12年10月24日(火) 13時30分~16時10分 広陵町立図書館 視聴覚室 | 審議会の構成について 概要説明(役割・現状説明・ごみ基本計画)資料提示・意見交換・質疑応答 |
第2回 | 平成12年11月29日(水) 9時30分~12時10分 広陵町役場 3F 大会議室 | 現施設を取り巻く状況説明 諮問事項・ごみ処理アンケ-ト結果の説明資料提示・意見交換・質疑応答 |
第3回 | 平成13年1月17日(水) 14時~16時 広陵町役場 3F 大会議室 | 情報公開について リサイクルに関連する法律について 平成13年度の分別種数について 資料提示・意見交換・質疑応答 |
第4回 | 平成13年2月27日(火) 14時~16時30分 広陵町役場 3F 大会議室 | 指定袋制の導入について 有料制の導入について 資料提示・意見交換・質疑応答 |
第5回 | 平成13年3月29日(木) 14時~16時 広陵町役場 3F 大会議室 | 奈良県における指定袋制と有料制について 有料制の方法について 資料提示・意見交換・質疑応答 |
第6回 | 平成13年4月25日(水) 14時~16時40分 広陵町役場 3F 大会議室 | ごみの有料制について ごみの指定袋制について ごみ減量化、資源化目標値について 資料提示・意見交換・質疑応答 |
第7回 | 平成13年5月30日(水) 14時~17時10分 広陵町役場 3F 大会議室 | ごみ減量化、資源化目標値の設定について 資料提示・意見交換・質疑応答 |
第8回 | 平成13年8月8日(水) 14時~17時 広陵町役場 3F 大会議室 | 中間処理計画、最終処分計画との整合性 ごみ減量化に向けた行動計画 住民、事業者、行政の役割 答申案の骨子について 事務局案の提示・意見交換・質疑応答 |
第9回 | 平成13年10月17日(水) 14時~ 広陵町役場 3F 大会議室 | 答申 |
参考 2
審議会委員名簿(敬称略五十音順) | 氏 名 | 条例上の区分 | 所 属 ・ 勤 務 先 | 備 考 |
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1 | 猿見田正子 | 住民代表 | ごみ減量推進員 | |
2 | 杉本 悦一 | 住民代表 | 区長・自治会長会代表 | ※1 |
3 | 竹嶋 祥夫 | 学識経験者 | 大阪産業大学教授 | |
4 | 竹田 綾子 | 住民代表 | ごみ減量推進員 | |
5 | 出井 裕久 | 事業所の代表 | 広陵町靴下組合組合長 | |
6 | 寺島 泰 | 学識経験者 | 京都大学名誉教授 | 会長※2 |
7 | 中川 要之助 | 学識経験者 | 同志社大学助教授 | |
8 | 中野 加都子 | 学識経験者 | 神戸山手大学助教授 | |
9 | 中本 末知子 | 住民代表 | ごみ減量推進員 | |
10 | 林 光代 | 住民代表 | ごみ減量推進員 | |
11 | 松村 和親 | 事業所の代表 | 奈良県農業協同組合広陵支店長 | |
12 | 大里 二郎 | 事業所の代表 | (株)近商ストア真美ヶ丘店代表 | ※3 |
13 | 吉川 隆志 | 事業所の代表 | 広陵町商工会長 | 副会長 |
14 | 吉崎 博子 | 住民代表 | ごみ減量推進員 | |
15 | 渡辺 正善 | 事業所の代表 | (株)ベターライフ広陵店代表 | |
※1 平成13年4月27日まで区長・自治会長会会長
※2 平成13年4月1日から大阪産業大学教授
※3 平成12年11月5日から前任の山口嘉之氏と交替
参考 3
広陵町ごみ減量等推進審議会条例
平成12年9月39日
条 例 第 3 号
(目的)
第1条 この条例は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第5条の5の規定に基づき、本町の一般廃棄物であるごみの減量等に関する事項について町長の諮問に応じる機関として、広陵町ごみ減量等推進審議会(以下「審議会」という。)を設置するために必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例における用語の定義は、法の規定による。
(所掌事務)
第3条 審議会は、町長の諮問に応じ、本町のごみの減量等に関する重要事項について調査及び審議する。
(組織)
第4条 審議会は、次の各号に掲げる15人の委員をもって組織し、町長が委嘱する。
(1) 住民代表 6人
(2) 広陵町内の事業所の代表 5人
(3) 学識経験者 4人
(任期)
第5条 審議会の委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第6条 審議会に、会長及び副会長を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選によって定める。
3 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第7条 審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会の会議は、過半数の委員が出席しなければ開くことができない。
(建議)
第8条 審議会は、審議した事項及びその他必要な事項並びにこれらに関する意見を取りまとめて町長に答申するものとする。
(庶務)
第9条 審議会の庶務は、ごみ対策室において行う。
(委任)
第10条 この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、町長が定める。
附 則
この条例は、平成12年10月1日から施行する。